岩野建設専門技能訓練学園は、全国でも大変珍しいとされる“会社内に設立された職業訓練学校”です。入社した技術職の社員は皆ここで学び、並行して働きはじめます。
学園では内装業における主な知識から始まり、基本的な施工方法、教材を使って建築の基礎を学びます。ほとんどの生徒がここで初めて内装業というものに触れるでしょう。
学科では製図の書き方や積算方法、実技ではタイル貼りやクロス(壁紙)貼り、電動工具を使っての施工法を学びます。
育成された多くの社員が、技能グランプリで全国1位を獲得しています。
建設業に必要な知識は教科書に沿って学んでいきます。また、製図を書いたり積算の仕方等も行います。
見本の製図を参考に勾配定規や三角定規を使って図面を書いていきます。
製図を見て完成したときの姿がイメージできるようになるための訓練です。
学園生や卒園生の中でも難しい、大変だ、との声が多く苦労するところです。
▲ 製図作業の様子
実際、学園で行う積算の講義ではそこまで詳しく行いません。
見本の建物の設計図を三角スケールを使って測っていきます。
そして数量を拾いだし、計算をするまでを行っていきます。
▲ 積算の様子
▲ 実技室にてタイル張りの様子
常に一人ひとつ道具箱を用いています
内装と一言で言っても、その中にはさまざまなものがあります。クロス(壁装)、床、軽天、各部門でそれぞれ岩野商会の「職人」と呼ばれる存在になるためにも、学園でも実技はこの3つを主な軸として学んでいきます。
実技の授業の際には一人一つずつ、道具箱と腰袋が必要とされます。道具箱の中には、長さを測るために絶対不可欠なスケール(メジャー)やタイルやクロスを切るのに使うカッターから始まり、貼ったクロス(壁紙)を伸ばすためのローラーやブラシなど作業に必要な最低限の道具が入っています。それを(クロスや軽天などの)作業する際には腰袋に入れておきます。
クロスとは壁紙のことを指します。
▲ 【パテ塗り】
この作業を通称パテ処理といいます。壁や板など下地の凸凹をなくすための作業です。
この作業はクロス職人の基本とも言えるでしょう。
▲ 壁紙を切り貼りして模様を作ります。
学園で施工はしませんが、グランプリなどでいずれは左図のような模様になっている少し複雑な施工もします。
学園で床の実技というとタイルや長尺シート張でしょうか。
教えてもらいながらも手順を覚えて実際に貼っていきます。
▲ 【タイル貼りの様子】
自分で隅出しをして、どこを中心にしてタイルを貼っていくのか決めます。
▲ 意外と全身の筋肉を使うのです。
軽天作業には電動工具が必要になります。もちろん、学園でも講師の指導の下、電動工具を使います。
軽天は常に危険を伴う業務の中でも、とくに危険だといわれています。しかし、十分に注意を払って作業に取り組めばいろんな電動工具を使うので楽しいと思えることでしょう。
残念ながら軽天には照査がありません。
▲ ここでも基本のボード張の作業から行います。
▲ ドライバを使ってビス(ねじ)の固定
2月には4月から学んできた結果を出すべく、学科と実技で照査を行ないます。この両方ともに合格することが必要です。
学科はペーパーテストを行い、実技では壁装(クロス)、床に分けて制限時間内にいかに課題を完成させられるのか仕上がりの精度や作業の手順、作業方法とすべて評価されているという大変プレッシャーのかかる中での照査になります。
照査に見事合格すると技能士補の資格が与えられ、さらに二級技能士の検定時には学科試験が免除されます。